台風で雨風きつそうなので、日曜は一日おやすみをいただきます。
春頃からある鍼灸師の先生の弟子にしていただきました。
一度勉強のために鍼灸院を見学させていただいたのがきっかけです。
「当分うちに来て勉強しなさい」とおっしゃられて弟子入りし、三ヶ月間、毎週金曜の午前中は院に伺っておりました。
その三ヶ月目が八月半ばに来たのですが、その後も師匠はうちの院に毎週お見えになられ、師匠相手に鍼を打たせていただくという形に変わって、まだまだ修行の日々です。
またお願いして、こちらからも二週間に一度、師匠の治療院で師匠の患者さんに治療させていただいております。「先生に比べてまだまだ効きが弱いねぇ」と言われながら、勉強、勉強です。
師匠と師匠の患者さんのありがたいご好意のおかげで修行させていただいておりますが、実は鍼灸師は本当に修行が難しい職業です。
年季が何より重要でありながら、勉強会に参加する以外、鍼を打つチャンスもないと嘆いている鍼灸師が沢山います。
せっかく三年以上勉強して国家資格をとっても、ペーパードライバーならぬ、ペーパー鍼灸師が何千人もいるのです。
私の弟は理学療法士なのですが、勉強はもちろん非常に厳しいものの、理学療法士専門学校の三年目には、半年以上かけて病院研修を受けられます。あちらの病院に3ヶ月、こちらの病院に2ヶ月と、他の県まで行って、寮に入ったり、ウィークリーマンションを借りたり、お金はかかるし、毎晩ほとんど寝ずにレポートを書き続ける数ヶ月は心身ともに磨り減ることでしょうが、鍼灸師にはそんな理学療法士がうらやましい。
鍼灸師は、せっかく資格をとっても、働きながら技術を磨くことさえ非常に難しいのです。
なぜなら・・・鍼灸師が働ける場所はほとんぼ鍼灸整骨院だけで、しかもそこで鍼灸を求められることはほぼなく、柔道整復士同様、患者さんをマッサージしたり、テーピングと言ってテープを巻いたりするだけだからです。
鍼灸受療率7%というのは、一生の間に、鍼灸を受けたことのある人が100人中いたった7人しかいないということです。残り93人は鍼灸のことなんか何も知らず、鍼も灸も受けることがないのです。
お灸はもしかしたら、千年灸のアロマ灸なんかを自宅ですることがあるかもしれませんが、鍼は市販されていないので、実物を一生に一回も見ることがないのだと思います。
鍼灸の針は髪の毛くらい細いです。
注射針と見比べると断然違います。
何より、注射針と違って「しなる」のです。
体を出来るだけ傷つけず、必要なところに柔軟に届き、また患部の状態を鍼灸師の手に「返す」には、そういう形状が一番よかったのだと思います。
「鍼はすごく効果があるのかもしれないけど、痛そうだから本当にぎっくり腰とか、どうしようもないようなときに行くよ」
ほとんどの方が、奥の手のように鍼灸を最後の選択肢にとって置かれます。
でも本当は、知っているのだと思います。
薬は体に良くないし、治って欲しい病気に限って、対症療法しか手段がない。
根治させるには、身体の地力を上げる、免疫力を高めるしかない。
それには東洋医学なんだ、と。
でも本質的なものに取り組むには、人生はあまりに忙しすぎるから、後回しになっているんだと思います。
(つづく)
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