医療において、根本的なものは、取り組もうと思うと時間がかかります。
治療回数もいります。
だから私の師匠は一回の治療費を低く抑えるべきと考えています。
また、忙しくても隙間時間にちゃっと来られるよう、治療時間も短くすべきと言っています。
それは師匠の志が、「仕事をしている人たちを応援したい!」というものだからというのが一つ。
「お金持ってて、治療院をなんぼでも選べる人は、うちに来ず、よそ行ってくれていいねん!うちはお金ない人、身体使って働いている人のためにあるの」といつも言っています。
もう一つは、時代と社会を見る目。
師匠は、これから先、景気はますます悪くなると考えています。
健康の為にお金を使いたくても使えない人がますます増える。そうなったら、ボリュームの小さいお金持ちをターゲットにするより、お金のない普通の人をターゲットにしたほうが層が厚い。
給料が右肩上がりの時代だったらともかく、お給料が下がることもある時代です。
今はお金があって高い治療院に通っている人も、年金暮らしになったらお金は節約したいはず。
長い目で見たら、高級サロンみたいな治療院じゃないほうがいい。
私は、院のコンセプトが『地域に根ざした古民家治療院』だったので、師匠のビジョンがしっくり腹落ちしました。
師匠の話を聞いていると、いつも「わたしが」がすごく少ないなと感心します。
師匠は勉強なんか好きじゃないと言いますが、師匠の話を聞いていると、最新のビジネス書に書いてあるようなことを言っていて、本当にビックリします。
師匠を今の師匠にまで育ててくれたのは、患者さんだそうです。
それも、地元のご隠居さんたち。商売を成功させ、息子、娘に譲ったご隠居さんたちが、こうしなさい、ああしなさいと言ってくれて、師匠はそれを「はい」と言って、なんでも言われたとおりにしていったそうです。
今、師匠が考えていることのベースには、戦中派のお年寄りの知恵が沢山含まれている・・・大きな時代の流れは、ぐるっと回って戦前に戻っていこうとしているのかもしれませんね。
むしろ、ここ何十年かが異常だったような、そんな気がします。
(おわり)
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