Born on a Blue Day 「ぼくには数字が風景に見える」

「ぼくが生まれたのは1979年の1月31日、水曜日。水曜日だとわかるのは、ぼくの頭のなかではその日が青い色をしているからだ」

という特徴的な文章から本書は始まる。

この出だしに引かれて手に取ってみたものの、読み終わるまで、わたしにしては随分時間がかかった本だった。

 

自閉症、てんかん、アスペルガー症候群、サヴァン症候群、共感覚という個性を併せ持った著者、ダニエル・タメット。

 

共感覚には、わたしはそれほど興味がないが、きっと数字に色や形を感じることがあるとしたら、世界はわたしが見ているのとは違った風に美しいに違いない。

 

わたしがこの本で印象に残ったのは、彼が高校卒業後ひとりで海外に飛び出したところだ。

語学の才能があるとはいっても、成績優秀だった彼が、研究職につかず、一人独立して生きる道を早くから選んだことに驚いた。

 

彼の言葉は事実については雄弁だが、どう感じたかとか、どう考えたかについては薄い。

 

というか、どう感じたとか、どう考えたとかについて書くことを抑えているのかもしれない。

 

この本を読み通すのにかかった時間は、この本の密度の濃さに比例しているのだから、内容が薄いように説明するのは間違いだ。

 

エピソードが多すぎて、青春期の葛藤の部分は筆をおさえ、別の本で書いているのかもしれない。

もし、彼が自分の進路や生き方を選ぶ上で、どう葛藤したか、もっと描かれていれば、この本は個性的な才能を持つ若い人の参考にもっとなるのにと思った。

 

 

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