交通事故や脳卒中などで脳が損傷されると、記憶能力の障害、集中力や考える力の障害、行動の異常、言葉の障害が生じることがあります。これらの障害を『高次脳機能障害』と言います。
これまで、医学的、学術的な定義では、高次脳機能障害は、脳損傷に起因する認知(記憶・注意・行動・言語・感情など)の障害全般をさしていました。例えば、言語の障害である「失語症」や道具が上手く使えなくなる「失行症」、知的な働きや記憶などの働きが低下する「認知症」のほか、「記憶障害」「注意障害」「遂行機能障害」「社会的行動障害」などが含まれます。(上記ページより引用)
下川さんは、必死でリハビリに励んだ。
大阪にはボバース病院と言う、リハビリの世界で高名な病院がある。
そこにかかって、先生たちは熱心に治療してくれた。
けれど社会復帰は難しかった。
てんかんの発作が出たからだ。
でも、それ抜きでも復帰は難しかった。
なぜなら、見た目には一見普通のおじさん。見た目は何一つ変わっていなくても、高次脳機能障害というのは、その人の内面を変えてしまうから・・・
交通事故や脳卒中などで脳が損傷されると、記憶能力の障害、集中力や考える力の障害、行動の異常、言葉の障害が生じることがあります。これらの障害を『高次脳機能障害』と言います。
言葉が前のようになめらかではなくなってしまった。
意思疎通がうまく行かない。
感情も調子を崩した。
下川さんは爆発しやすくなった。
脳損傷後に起きる3種の障害
脳に損傷が起きてしまった人には、3種の障害が残る可能性があります。それは、「からだの障害」「知的な障害」「心の障害」です。(『高次脳機能障害と家族のケア』渡邉修 著より)
(1)からだの障害
手足の麻痺、ふらつき(失調)、モノが2つに見える、片側の口からごはんがこぼれる、味がわからない、耳が聞こえない、食べ物が飲み込めない、ろれつが回らない
(2)知的な障害
記憶障害・・・ちょっと前のことを忘れる
注意障害・・・すぐ飽きる、ひとの話をじっと聞いていられない
遂行機能障害・・・考えがまとまらない、計画立てて行動できない、段階を踏めない
地誌的障害・・・自分の家に帰れない、今いる場所が分からない
失行・・・歯ブラシの使い方がわからない
失語症・・・言葉が出ない
(3)心の障害
自発性の低下・・・やる気、気力が出ない
感情の爆発・・・感情のコントロールがきかなくなる、カッとして暴力的になる
自己中心的・・・他人の心が想像できなくなる
過度のこだわり
自分の障害に気がつかなくなる
幼児的
依存
(『高次脳機能障害と家族のケア』渡邉修 から少し分かりやすく書き換えました)
高次脳機能障害患者に初めて会ったとき、あなたは「こういう子供っぽい人なんだ」と思うかもしれないけれど、それはそうではない可能性が高い。
誰もが一部分は子供っぽい欠点も持っているかもしれないが、高次脳機能障害患者の場合、感情の爆発や過度のこだわりは、脳の障害で起こっている可能性が高い。
それがどういうことかというと、あなたがある日脳に障害を負い、高次脳機能障害になったとしたら、あなたは今のあなたではなく、幼稚園児の頃のあなたになってしまうということだ。
(人によっては、幼児のときにもそんなに子供っぽくはなかったという人もいるだろう)
あなたが突然別人のようになったとして、家族は、友達は、どんなにかびっくりするだろう。
(つづく)
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