病院の神経内科というところに行って検査を受けても、結局なんで突然「ここはどこ」状態になった原因がわかったわけではありませんでした。
そしてこれは痛恨の失敗談なのですが、その後私は原因を突き止めるため、脳外科手術にGOサインを出してしまいます。
ドクターから、せん妄状態原因が分からない。
調べるためには「脳の細胞」を採って検査するしかないといわれました。
私はこのとき、なぜか「原因」を突き止めないと母は治らないんだと思い込んでしまい、それならと手術に同意してしまったんです。
髪の毛を剃った母はなんだか滑稽で、手術の日はそのとき、名古屋、奈良、博多にいた弟を呼び寄せ、待機しました。
そして細胞診をしてもらったんですが、結局検査しても何にも分かりませんでした。手術し損です。
わからないけど、とりあえずステロイド治療をすることになって、それから母は数週間かけてじわじわ回復していくのですが、手術前、手術後、入院中、退院後にあった諸々は思い出したくもなく。
ステロイドの副作用でムーンフェイスになった母親。
家に帰りたいと駄々を捏ねる母をなだめたこと。
涙をぽろぽろ流しながら、不思議な多幸感で笑う母。
「今死んだら人生で一番幸せ」と言われたこと。
私の中でまだ整理できていないことばかり。
教訓として分かったのは、
(1)医療に詳しい人間が身内でも友人でも、誰か必要
(2)医者が言うことが理解できなかったら、納得するまで徹底的に質問することの大切さ
(3)原因を突き止めることイコールが治るってことじゃない
でもはじめての事態に戸惑っているときは、まともに考えることすら困難です。
だから今度NPOを始めることになったとき、高次脳機能障害について相談できるオンラインサロンを開きたいと思いました。
家族の誰かがある日突然、脳の障害から「別人」のようになってしまったとき、私のように一人で判断するのではなく、信じられる情報源があればと。
(つづく)
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