「高次脳機能障害」について、本の出版や講演会、家族会などを行うNPOを企画しておりましたが、参加を取りやめました。
参加を取りやめた理由については、また書きます。
ところで、先ごろ小室哲哉さんが引退会見の場で、奥方であるglobeのKEIKOさんのことを話しておられるので、高次脳機能障害のことをそれで知ったという方もおられるのではなきでしょうか?
クモ膜下出血、そして後遺障害があり、小室さん自身、肝炎を抱え心身ともに非常に参っておられる様子が伝わって来ました。
私の母は、当初こそデパートから外に出られない、今どこにいるのか、今日がいつなのか分からないという状態ではありましたが、今は趣味の津軽三味線を楽しみ、今月はインドへのツアー旅行に参加することも出来るほど回復して、孫の世話やなにやと、日々忙しく、楽しく暮らしています。
しかし、もし、薬が効かず、手の施しようがなかったら、おそらく母も、家族全員で目を離すことも出来ない状態になっていたでしょう。
危なかしくて。
高次脳機能障害は、身体は元気なのです。
だからこそ、危ない。
認知症も近しいものがあります。
身体が丈夫だから、迷子になると、体力尽きるまで動き回り、行方不明になると大変です。
認知症も高次脳も、見た目からは、必ずしもわからないのです。だから、異常に気付きにくい。
他人に訴えても、「そんな風にはとても見えませんよ。ちゃんと正常に見えますよ」と言われます。
いやいや、本当に危なかしいんですと言っても伝わらない。大変なんです、しんどいんです、は尚更伝わらない。
危なかしいから、近所をふらふら歩いてたらそこで止めて欲しい、そして家族に知らせて欲しい。ただそれだけなんですけどね。
「見えない障害」と言われる所以です。
高次脳機能障害は、うちの例でも分かる通り、治ることもあります。
うちの母ほど治る例は、しかし、希だと思います。
ダイビングで低酸素状態に陥り、高次脳機能障害を発症した女子大生は、10年間かけて、IQが40から60に回復しました。
しかし、それを回復したと、誰なら手放しで喜べるでしょうか…
親御さんは自分たちが死んだ後、一人で生きていけるはずもない娘のことをどれだけ心配するでしょうか。
芸能分野に疎い私は、小室さんの引退会見まで、KEIKOさんの病状を知りませんでした。
かなりの方が、あの報道で初めて「高次脳機能障害」という名前を知ったのではないでしょうか?
小室さんは「女性というより子供に戻ってしまった」とKEIKOさんのことを説明していましたが、うちの母も一緒でした。
高次脳を発症した、その日の少女のようだった母を忘れられません。
NPOの参加は見送ったけど、私は高次脳機能障害のことを思い出したことに意味があると考えています。
中でも、患者本人というより、介護する家族が少しでもホッと出来るような何かをしたいと思います。
まだそれが何かはわからないです。
どんなニーズがあるのか。
私に何が出来るのか。
これから考えていきます。
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