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2011年3月1日(火)読売新聞
医療ルネッサンス No.5030
「針で回復 診断は本当か」
東京都の50歳代の女性会社員は5年前、精神科でうつ病と診断された。
きちょうめんな性格が管理職になって強まり、部下の仕事に細かく口を挟んだ結果、職場で孤立したことが心の不調のきっかけだった。
薬物治療を受けたが、仕事への意欲が戻らず、休みがちになった。抗うつ薬や抗不安薬、抗精神病薬が増えていった。
3年前のある朝、頭が前に傾いたまま上がらなくなった。整形外科の検査では骨や筋肉に異常はなく、診察した医師は「精神科の薬の影響」とみた。
「首の筋肉をほぐしたら楽になるのでは」。
知人に勧められ、針きゅう院の蓬(ほう)治療所(東京都杉並区)へ行った。所長の戸ケ崎正男さんは、背中などのツボに温きゅうを施し、首なので浅く針を刺した。
数回通うと、頭が上がるようになった。以後も「心身の心地良さ」を味わうため、定期的に通った。次第に活力が戻り、薬に頼る気持ちが薄らいだ。今では薬はほとんど必要なく、職場の人間関係も修復して、元気に仕事をしている。
東洋鍼灸専門学校(東京都新宿区)副校長の松田博公さんは
「針きゅうには心身をリラックスさせる効果はあるが、精神疾患を治すわけではない。
ただ最近は、心の不調を安易にうつ病と診断するケースが増えているためか、針きゅうで良くなる『うつ病』が目立つ」と話す。
歯科医が回復のきっかけになった人もいる。
東京都の40歳代の主婦は6年前、ひどい頭痛や肩こりから、不眠、意欲低下に陥り、精神科でうつ病と診断された。薬は効かず、孤立感が強まり、発作的に電車に飛び込もうとしたこともあった。
昨年、歯科で虫歯の治療を受け、すべての歯でしっかり噛めるようになると、頭痛や肩こりが減った。心が晴れやかになり、まもなく精神科の治療が必要なくなった。
治療した歯科医は「虫歯などて片側の歯でばかりかむと、頭や首の筋肉が緊張して痛みが出ることがある。痛みに対処しただけで、うつ病治したわけではない」と語る。
神奈川歯科大(横須賀市)教授の小野塚實さんは「ガムなどをかむと、ストレスが減ることは証明されている。しかし、うつ病が歯科治療で回復するとは考えにくい」と話す。
針きゅうや歯科治療でよくなる「うつ病」は、本当にうつ病なのだろうか?
安易な診断、薬物治療の見直しが求められている。(佐藤光展)
これらのケースは「うつ病」という診断に疑問符がつくという結論を出しています。
安易にうつ病という診断をし過ぎではないか?と。
けれどちょっと考えてみると、違う風景が見えてくるように思います。
うつ病かどうかという病名が、苦しんでいるそのとき重要か?ということと、
病名が何であれ、間違いなく、そのとき、その人は「うつ」症状に苦しんでいたということです。
ちょっとやそったの身体の不調では休みにくい風潮が、「進行」しているように思います。
ある施策は、働く人をもっと休めるように。
別の施策は、ちょっとやそっとじゃ、休みにくいように。
すごいダブルバインド。
産休なんかは幾らか取りやすくなりました。
けど、一方では、ガンでも入院日数は短くなっています。
問題なのは後者です。
ガンだからと会社をクビにならなくても済むということは、患者にとって、働く人にとって、仕事を失わず治療を継続でき、安心で歓迎できる半面、
今時はガンでもゆっくり寝てられないんだよ!と言われてしまえば、たかが風邪じゃ休みにくいという風潮にならないでしょうか?
うつ症状になる程しんどいなら、休まなきゃいけないと思います。
休んで、その場を離れた方が良いことも多いと思います。
安易な「うつ病」という診断は良くありません。過剰な薬の投与もまずいと思います。そこは変えていかなきゃなりません。
ただこの記事そのまんまだと、「精神科医が悪い」で終わってしまいそうです。
それよりも、今の医療の仕組みが、「診断が間違うことはつねにありえること」を前提にしていないことが問題です。
一人のドクターの治療であかんかったら、ほかの色んな原因を考えられる仕組みが考えられるようになってないことが、めちゃ怖いと思います。
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